16歳のダイアリー

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と言って、 彼はわたしの頭の毛を片手でくしゅくしゅっとした。 「そっちが、 さびしそうな顔するから」 と、 わたしは思いっきり突っ張った。 なのに、 声が涙声。 「なんだ、 本当に好きだったんじゃん」 「―――」 そう言われて、 そうか、 やっぱ好きだったんだ。 角谷さんのこと…。 曖昧な心模様がクリアにさせられた。 確信がなかったのに、 そんな風に言われると、 戸惑いが確信に変わっていくようだった。 なによ。 もう終わっちゃうっていう時になって、 イイナ…が、 それ以上になっちゃうなんて。 昨日電話で角谷さんと話したせいだと思った。 優しかった。 それに、 わたしの気持ちを気遣ってくれた。 心がこもっていた。 タクミさんひとりじゃかわいそうだから、 なんて言っていたけれど、 それだけじゃない。 だってもう会えないからって、 そういう意味があったんだ、 きっと。
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