16歳のダイアリー

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「あの、 新しい住所…良かったら、 教えてください。 手紙書いてもいいですか?」 またしても大胆な発言をしている自分に恐れを感じる!角谷さんは表情を変えず、 黙って2回うなずいた。 それはNOと言えない切羽詰まった雰囲気があったからなのかも。  タクミさんは帰り道、 「遠くで見ているだけで良かったんじゃないの?」 と、 まるで鬼の首でも取った様に言い放った。 「付き合っちゃえばって言われたの、 そんなにイヤだったの?」 「…」 「俺はいいよ、 テキト―に流しちゃっても。 それもいいかなあ、 って笑ってごまかして。 だってもう会うこともないし」 「わたし、 あすこで言わなかったら、 ただのタクミさんが連れて来た人っていう位置づけでしょ」 「だって、 それでいいって。 見てるだけでって」 「…と、 思ったんだけれど。 お別れだもの。 覚えていてほしかったの。 タクミさんと一緒にいた人っていうだけじゃ、 印象薄いじゃない。 もう会えない、 だからこそ、 覚えていてほしくて。 つい」 「へえ。 キミってあんがい強いとこあるね」 「強い?これが」
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