16歳のダイアリー

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 2学期が始まって少ししてから、 なんと、 角谷さんから返事が来た。 白い細長い封筒で、 真面目な感じの宛名書きが心に響いた。 どきどきしながら、 丁寧に、 封を切った。  「長い長い手紙ありがとう。 途中でコーヒーを飲んで、 小休止しながら読みました。 僕は今、 家の近くの自転車屋で働いています。 川崎の高校で、 全日制から定時制に変わったのは、 親父が病気で倒れ、 入院が長くなることが分かったから、 自分が働こうと思ったのです。 でも、 この夏、 他界しました。 そしてお袋の郷里の、 この場所に引っ越してくることになりました。 お袋はかなり参っていて、 あまり働けない状態なので、 僕が頑張って仕事をし、 家のこともやってます。 毎日忙しく、 寝る暇もないとはこの事です。 そんな訳で今は、 川崎の高校のことを聞かせてもらっても、 もうピンとこないし、 僕から見ると、 遠い世界なのです。 ひがんで言っているのではありません。 僕は僕なりに頑張って、 生活を立て直そうと思っています。 君たちは、 楽しい青春時代を過ごしてください。 もう会うこともないと思うけれど。 元気で」    わたしはこの手紙を読んで、 愕然とした。 知らなかったとはいえ、 角谷さんの家庭の事情がかなり厳しいのに、 全く考慮せず、
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