16歳のダイアリー

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と、 つぶやいた。 急に軽々しく手紙を書いたことが恥ずかしくなり、 胸が痛んだ。 誰かにこんな自分の心を聞いてほしいと思い、 タクミさんを思い出していた。  次の日、 ハンド部の部室の前で、 こっそりタクミさんを待ち伏せした。 男子生徒の声がすると、 くるりと振り返って、 彼を探したが、 現れない。 今日、 あるよね、 練習。 部室、 来るよね、 まだかな、 来るよね、 来るはず、 こんな風にずっとはらはらしながら待っていた。 部室は、 校舎の裏にあって、 人通りはほとんどない。 だからただ自分ひとり立っているというのは、 スゴク不自然。 かといって、 そばの花壇に座っているのも、 もっと変。 渡り廊下を行き来する人を、 時々横目で見て、 そこからタクミさんがひょこっと現れないかな、 なんて思っていたら、 チャンス。 一人静かに彼が歩いてきた。 と、 その時、 彼のすぐ後ろから、 1年の女子が2人やって来ていて 「タクミさーん」 と、 声をかけた。 その呼び方、 (自分もそう呼んでるくせに)みょうになれなれしくて、 いやな感じ。 1年のくせして、 後輩でしょーに。 そんな呼び方して。 自分のこと棚に上げて思った。 その1年女子は 「夏休み、 京都に行ったんでえーす。 これ、 お土産です。
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