16歳のダイアリー

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「あ、 いまあす」 わたしが顔を出すと 小さな段ボールを持ったタクミさんが立っていた。 「あれ?きみか、 コレ」 「はい、 あ、 ありがとうございます」 「うん。 さっき、 河井に頼まれて。 アイツ、 忙しそうに走り回ってたから…」 河井さんというのは放送部の部長。 「なんだ、 コレ?」 中身をみると 「ああ、 予備のマイクか…」 「じゃあ…俺、 いくわ」 「あ…」 「ん?」 なんとなくあれから、 しっくりしない関係だったからなのか、 わたしは素直に言葉が出なかったし、 タクミさんの方も、 わたしを敬遠していたように思えた。 「あの、 角谷さんから、 手紙来たんだ」 「へえ、 良かったじゃん」 「良くはないけれど、 内容的に」 「元気なんでしょ」 「うん」 「じゃあ、 良しとしなくちゃ」 本当にそうだと思った。 彼の言うことはけっこう正しいのだ。
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