16歳のダイアリー

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「なんだか、 わたしひとり、 芝居していた感じ。 手紙書いて、 浮かれて、 はじゃいで」 「仕方ないよ、 知らなかったんだし」 「うん、 でも…」 わたしはちょっとだけ涙声だった。 「よしよし」 タクミさんは、 わたしの頭をなでた。 「じゃあさあ、 山梨、 行ってみるか。 角谷さんの働いている自転車屋探して」 タクミさんはわたしを励ますように言った。 「もうこれ以上、 何か働きかけるの、 やだ。 しつこいよ」 「じゃあさ。 遠くから見るってのは?自転車屋さんだからさ。 こう、 出入り口、 ぱあっと開いていて、 そこでぐるぐるタイヤなんか回しながら、 修理してる姿、 遠くから見えるよ、 きっと」 その一言にわたしはちょっと気持ちが動いた。
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