16歳のダイアリー

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「手、 冷たくない?」 なんて言ってくれると、 本当に優しいな、 と、 思った。 だもん、 彼女、 いない方がおかしいよなあ…。 「ねえ、 タクミさん。 彼女乗せて走りたかった?」 と、 聞いた。 「まあね」 「今はいないの?ねえ、 前の彼女、 乗せたりした?」 「へ?あ、 あんまり女の子、 乗せたことないんだ。 スカートだったりするし、 やっぱ怖いっていうのもあるだろうし、 気、 つかうし。 そーだな。 ムードないし」 「あっ、 そう。 ムードない、 ないか」 「だって、 そうでしょ。 並んで手つないで歩った方が楽しいでしょ、 女の子は」 「そーかな」 「バイクじゃゆっくりしゃべれないし。 メットかぶっちゃってたら、 顔見えないし」 「そーか、 わたしだとムード必要ないもんね。 気も使わない?」 「そういう訳じゃないけれど…。 俺は今日はツーリングと思ってるから。 でも、 ほら、 ただ走るだけじゃつまらないじゃない。 目的ないと。 だから今日みたいなのは、 面白い」 「面白い?それって、 どういう意味よ」
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