16歳のダイアリー

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「これ着な!寒くなっちゃうから」 半強制的な言い方だった。 「でも…タクミさんは?」 「うん。 俺は大丈夫、 男の子だから」 その言い方がおかしくてちょっとだけ笑った。 なんだか和やかだった。 雨は強くなってきた。 通り雨だと思ったのに…。 「よし、 休憩。 雨がやむのを待とう」 小さな蕎麦屋さんに入ることにした。 「ここで作戦会議」 びっしょりぬれたわたしたちを見た店の人が、 心配してタオルを出してくれた。 やはりちょっと田舎に来ると親切。 温かいおそばをまず食べて、 お茶を飲み。 それから地図を出して額と額をくっつけるようにしてしゃべっていると 「バイクかい?この雨じゃ、 無理は禁物だよ」 と、 蕎麦屋の奥さんが言って来た。
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