16歳のダイアリー

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「はあ、 そのうちあがるかと思っていたんだけれど…」 「どこまで行くの?」 奥さんは地図を覗き込んだ。 タクミさんは地図をそちらに向けて、 「あとちょっとなんですがね」 と、 言った。 「ああ…。 ちょっとでもないよ。 ここまでは、 けこうあるよ。 親戚の家かなにかなの?」 「いや。 友達の働いている自転車屋さんで。 訪ねて行こうとしてたんですが」 「自転車屋?」 「なんていう?」 「桃川サイクルっていうんですが」 「桃川?」 「は…い」 「それなら知ってる。 お父さーん。 桃川サイクルって昭和町に一軒だけだよね」 奥さんは調理場に向かって叫んだ。
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