16歳のダイアリー

69/184
前へ
/184ページ
次へ
「ちょっと、 びっくりさせようと思って、 コイツ、 俺が無理やり引っ張って来たんだ。 そんな気にしないで。 深い意味ないから」 タクミさんは深い意味ありそうな言い方をしていた。 もう! 「拓実くんのマスコットだね」 角谷さんはちょっと笑いながら冷やかすように言った。 「まあ、 それでもいいけど…むにゅむにゅ」 わたしの入る隙間はない。 ちょっと世間話をしていたら、 桃川サイクルの親父さんが立ちあがって 「そろそろ行くか?」 と、 声をかけて来た。 「あ、 スミマセン」 タクミさんと、 角谷さんが同時に言った。 「あんま、 ゆっくり出来なくて」 「あ、 いや。 こっちこそ。 時間とらせて…」 「拓実くん、 よかったら泊まってかない?」 「え?」 「明日、 学校は休みでしょ。 祝日で連休でしょ」 「うん」 「俺は仕事だけれど、 朝はそんなに早くなくていいし。 今夜ウチでゆっくりしたら?」 「あややあ」 「ウチって言っても、 実のところ、 ばあちゃんちなんだ。 でも、 お袋、 拓実くんには感謝してたし。 拓実くんのことお気に入りだから喜ぶよ」 「牧川さん、 どうする?」 タクミさんが聞く。 えっ、 わたしに振らないでよ…、 そんなの答えられない。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加