16歳のダイアリー

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「フレー、 フレー、 角谷さあん!」 わたしはタクミさんの後ろから声をかけた。 ちょうど止まった信号で 「声が小さいぞ!」 と、 ふざけている。 2人して 「フレー、 フレー、 角谷さーん!!」 と、 叫んだ。 それから、 言いたいことは、 タクミさんにもあった。 山梨まで行ってくれたこと、 誘ってくれたこと、 気にかけてくれたこと、 角谷さんに会えたこと、 思い出が出来たこと、 優しくしてくれたこと、 いい旅だったこと、 楽しかったこと…。 背中からなら言えそうだったのに、 何度か言おうと思ったのに…。 結局言えなくて、 着いてしまった。 降りるときでもいいかな、 と思ったけれど。 降ろされたその場所が、 道が狭くて、 交通量が結構激しいわ、 駐車している車は多いわ。 今日はありがとうって、 ただそれだけがやっと。 で、 ヘルメット返して、 あとはサヨナラ。
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