16歳のダイアリー

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「てなわけで、 ね、 タクミ。 頼りになる人みつけただろ。 牧川さん、 今、 印刷機の使い方説明するからね、 ちょっと待っててね」 「はい」 その素直な返事を聞きながら、 俺は彼女の顔を覗き見て 「調子いいからな。 菅野は」 と、 ちょっとなぐさめるように言ってみた。 「調子よくなきゃ、 こんな生徒会みたいなめんどいこと、 引き受けてないよ」 「あの、 高瀬さんは、 ハンド一筋なんですか?委員会とか、 生徒会とか、 そういうの全然?」 彼女が聞いてきた。 「うん。 ハンドやるだけでいっぱいいっぱい。 2年なのに部長やんなきゃなんないしね」 「ああ、 去年?ハンド部、 県大会で準優勝してたんですよね」 「知ってるの?」 「有名です。 受験する時、 そういうの、 聞かされてましたから。 それに高瀬さんも有名だって、 言ったじゃないですか」 「へ?」 「あの、 クラブ紹介の時。 体育館でしゃべっている高瀬さん見て、 1年女子たち、 ぽーっとなって、 目がハート型になってました」 「うそだろ」 「うそです!」 「おちょくるなよ」 「ハイ!」 屈託なく彼女は笑っていた。
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