16歳のダイアリー

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 そうそう、 菅野が牧川さんを頼って、 印刷を手伝わせていたのには、 訳があった。 菅野に後から聞いたんだけれど。 牧川さんが、 入学して1カ月もたたないうちに、 自分は高校時代に思い出に残る様な、 何かをしたいって、 言って来たらしいんだ。 それで、 他の学校の人から受け取ったという小冊子を持って来て、 自分もこんなものを作って、 学校で発行したい、 と。 その小冊子は、 生徒の投書やら、 発行者のコラムやら、 学校の行事の解説やら、 いろいろなものがつめこまれていて、 新聞部が発行するものより、 ずっと、 不(・)真面目っぽくて、 正直っぽくて、 悩み多き青春、 いかにいくべきかみたいなテーマとしては良く出来ていたらしいんだ。 で、 生徒の気持ちを反映させるにはこういうのを作ってみたいって菅野に相談していた。 菅野もこれは面白いってなことで、 できるだけ協力することになり、 それで、 生徒会室に来ては相談したり、 印刷機の使い方を教わったりして、 生徒会関係の印刷をする、 その合間に、 どさくさで自分のものを印刷していたみたいだ。 もちろん菅野の了解を得て。 5月の終わりごろだったか、 初めての発行ということで、 俺は菅野から受け取ったけれど。
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