第二章・日本古来の技

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第二章・日本古来の技

「さてと、そんじゃ訓練するか」 「何をやるの!?」 好奇心旺盛な紗凪に、アーサーは日本刀を手渡す。 紗凪は意味が分からず、不思議そうに日本刀を見た。 「普通の日本刀と何が違うの?」 「剣のことじゃなくてな。借りるぞ」 アーサーは紗凪から借りた日本刀を構え、道場の外に置いてある小屋程度の巨大な的に意識を集中させる。 集中してから三十秒後、道場の外で木の葉が舞い落ちる瞬間に、アーサーは素早く日本刀を抜刀する。 刹那、爆音と同時に的は粉々になり、紗凪が唖然とする。 「どっどういうこと!!?」 「剣に細工はしていない。光速で動いただけだが…………この世界だとやっぱり反動が大きいな」 「………………………」 アーサーの光速の抜刀術は凄まじい破壊力だった。 だが、アーサーの様子がいつもと違う。 「あんたどうしたの?」 「今は動けねぇんだよ。魔力が存在すればな~」 アーサーは苦虫を噛み潰した顔で、紗凪に説明する。 「魔力?」 「教えてなかったか?ブリテンにある空気みたいなもんで、魔法や反動無しで今みたいなことが出来る」 「そうなの!?」 「だけど、俺は魔力は嫌いだ」 「何で?凄い力でしょ?」 紗凪は魔力の欠点を知らない。アーサーは呆れながらも、魔力の欠点を説明する。 「魔力は生まれた時から差があって、差別の対象になる。それに、魔力は使い過ぎると肉体が消滅するから危険だ」 「そうなんだ…………」 紗凪は文献とは違う真実に驚く。 紗凪が知っている魔力は、無尽蔵にある夢のような力ということだ。 だが、アーサーが光速で動いたことは説明出来ていない。 「そんで、光速で動くことは難しいが出来なくはない」 「何で?」 アーサーはいつの間にか、紗凪の後ろに立って背中を押す。 紗凪が驚き、頭から床に激突する。 恥ずかしさで顔が赤くなり、痛みで紗凪は涙目になる。 「痛!!びっくりさせないでよ!!」 アーサーは首を傾げる。 「?俺は何もしてないぞ」 「嘘でしょ!あたし見てたんだからね!」 アーサーははぁ~と呆れる。 「あれはゴーレムだな。しかも変化出来る奴かよ」 アーサーがゴーレムを小突くと、アーサーに変化していたゴーレムは元の人形の姿になる。 ゴーレムの攻撃を避けながら、紗凪が知ったかぶりのゲームの知識を披露する。 「ゴーレムって鈍間だよね?」 「馬鹿!殺されるぞ!!」 ゴーレムにとって鈍間は禁句のようで、ゴーレムの攻撃の頻度が増す。
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