一章

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私と春が家に入ると玲奈は丁度お茶を淹れているところだった 中を見回すと外装とは違い、アンティークな家具とスッキリとした内装で清潔感があった 春もそう思っているのだろう、驚いた顔をしている 玲奈もそれに気づいたらしくいたずらっぽく微笑んでいる 「中は綺麗でしょ」 「あっ・・・いえ・・・」 春はばつが悪そうにいいよどんでしまった 「いいのよ気にしないで。ここに来た人はみんなそうなの」 「山田さんも驚いたでしょう?」 玲奈はこちらに向いてこれまたいたずらっぽく笑っている 「あはは・・・、そんなことないです。私は驚きませんでした」 「あら、本当?気を使わなくても大丈夫よ」 私はちらりと春を見ると春も怪訝そうな顔でこちらを見ていた 白状しろと言いたいのだろう 私は少し間を置いてから話をした 「水瀬さんが家に入るときに靴の泥を慣れた様子で落としていましたし、握手をしたときには、袖を捲っていて手から洗剤の匂いがかすかにしていました。洗い物をしていたからでしょう。玄関のドアはしっかりと磨かれており、蔦の這った窓は二階だけ、一階で使われている窓の蔦はちゃんと切ってある。つまりあなたは結構几帳面な方だ。」 「そんな人が自分の生活するところを片付けないのは考えにくいですから。それにこれが一番の理由ですが・・・」 玲奈は驚いた様子でポカンと私を見ていた すぐに話しが終わっていないことに気づいたのか続きを促した 「それに?」 「水瀬さんのようなお綺麗な方がグチャグチャの家に住んでいたら少しがっかりしてしまいます」 ことさら残念そうに言うと足に激痛が走った 春に足を踏まれたみたいだ 玲奈はまた少しポカンとしていたが鈴を鳴らしたようにコロコロと笑いだした 「ふふふ、お上手ね。それで?がっかりしなかった?」
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