一章

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「ええ、がっかりしませんでした」 少し間を置いてお互いに笑ってしまった。 玲奈はひとしきり笑うとティーポットとカップを持ってきた。どちらも高級そうなもので、ゲスト用なのだろう 慣れた手つきで私たちの紅茶を注いでいる 「そんなところに立っていられたら私が落ち着かないわ、適当に掛けてちょうだい」 私たちはたしかに玄関で立ち尽くしていた。礼を言って椅子に掛ける 「春さんはレモンいる?」 玲奈は注ぎ終わったカップを満足気に見たあと、テーブルにことんと置くと春のほうを向いた 「いえ、私はいらないです。」 「そう、山田さんは?」 「私も結構です」 「じゃあ私だけね」 玲奈は少し残念そうに輪切りのレモンを紅茶に添える
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