一章

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「それで、どういったご依頼なんでしょうか?」 私は玲奈がティーセットをあらかた片付けるのを待って切り出した 玲奈は一瞬間を置いて椅子に掛けると一口紅茶を飲んだ 見ると少し表情が堅いものになっている 「あのね、大した依頼ではないのだけど、探して欲しい男がいるの」 「と言いますと?」 「山西達也(やまにしたつや)、彼を探して欲しいの」 玲奈はまた紅茶を一口飲む 「彼はね、私の大学時代の友人なんだけど2ヵ月ほど前にひょっこり家に来たの」 「ひどく興奮していたわ、大学時代の物静かな彼からは想像できないほどね、会うと突然頼みがあると言ってきたの」 私は相槌をうち先を促す 「もし自分が1ヶ月して連絡がなければ電話をある番号にかけて『失敗した。』と言って、って」 「私は意味が分からなかったし、なによりも彼が危ないことをしようとしてると解ったの」 「だから断って彼を止めようとしたわ」 「そしたら彼は『俺にはこれしかない、頼む何も言わずに引き受けてくれ』って土下座されて・・・」 「引き受けたんですね」 「ええ、そして1ヶ月経っても彼は連絡をよこさなかったわ」 「ふむ・・」 「それから私は言われていた番号に電話をかけたの」
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