一章

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玲奈はそのときのことを思い出しているのか、頬に手を当て下を見ている 「電話は数回のコールの後繋がったわ。だけど相手方からはうんともすんとも言わないの」 「仕方なく私は達也君に言われた通りに『失敗した』と伝たわ」 「すると一瞬息を飲む音がしてすぐに切れたわ」 玲奈はカップの縁を触りながら目線をこちらに向けた 「私はすぐに大学の友人たちに連絡した。達也君の行方を知らないかって」 「だけど誰も知らなかったわ。」 玲奈はそう言うとまた視線を下げてしまった 「彼が訪ねてきた後すぐに大学の友人に連絡をしなかったんですか?」 「達也君に止められていたの。絶対に誰にも言わないでくれ、親にも言わないでくれって」 「でも電話のあと、いてもたってもいられなくなって・・・」 「なるほど」 私は顎を撫でながら相槌を打つ
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