一章

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「警察にも掛け合ったけど、真面目には取り合ってもらえなかったわ」 玲奈は悔しそうに机の上の拳を握っている おそらく私に依頼をするまでに方々手を尽くしたのだろう 「山田さん、どうか達也君…いえ、山西を探してくれませんか?」 玲奈はさっきまでの柔和な笑顔とは違い真剣な表情で私を見て言った 私はしばらく考えた 不審な点が多すぎる。 どういうことなのだろう 「あの・・・」 それまで沈黙していた春が口を開く 「失礼だとは思いますが、親にも言えないような秘密を水瀬さんに頼んだのは何故でしょうか?大学時代にはもしかして親密な関係だったのですか?」 玲奈はふふっと笑った 「そんなことないわ、彼は寡黙で誰かと特に親密になろうとはしなかったの。もっとも私は違ったのだけど」 「彼が何故私に頼んだのかは分からないわ。他にあてがなかったのかもね」 そういうとまた少し哀しそうに玲奈は笑った
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