一章

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――――――――――――――― 私たちは喫茶店に来ていた あのあと、二三質問をし、歓談のあと玲奈の家を後にした私たちだったが、春があの獣道をこえたあたりでわめきだしたのだ、アイスが食べたいです!おっきいやつ!と恥も外聞もなく騒ぎたててきたため私もついに降参して喫茶店に寄ったというわけだ 「先生、このアイス美味しいですよ!」 「そうか…」 さっきまでぶすっとしていたのが嘘のようにご満悦といった表情だ 「でもね、先生。今回の依頼なんで受けたんですか?」 「うん?」 「先生いつもなら断る類いの依頼じゃないですか。」 「…そうだな」 ウェイトレスがアイスコーヒーを持ってくる。愛想よくお辞儀をして次の注文をとりに行った 私はアイスコーヒーを啜りながら春を見る 春はどうやらそこが附に落ちなくてアイスをねだったらしい このままだと二、三日会えないことは解っているのでこの時間を作ったのだ
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