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私は気づいたのだ
少しの違和感と今日の幸運に
しかし
遅すぎたのだ
眩い閃光が目を刺し
数瞬遅れて轟音が耳をふさぐ
視界は次々と転換して行き理解が追いつかない
なにか鈍器のようなもので背中が殴りつけられる
衝撃で前のめりに叩きつけられそのまま体が転がる
何回転したのかわからないが、体が停止したのが分かる
息ができない
苦しい
足の感覚がない
口の中に鉄粉が詰め込まれているように鉄の味がする
ああ、やっと理解できた頬にあたる「これ」は爆風だ
この灰色が覆いつくしている視界も、火薬のにおいも
こんなことなら彼女にもっと早く伝えておくべきだった
もはや話す時間も力も残されてはいないのだ
意識が遠のいていく
遅すぎた
目の前に広がっていく夕焼けのような血を見て私はそんなことを思っていた
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