序章

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しばらく歩くと少し開けた場所に出た 前を歩いていた彼女はいつしか私の後ろを従軍する疲弊した兵士のそれに戻っていた 「・・・先生、ここですか?」 疲れきった様子の彼女はすがるような目付きで私を見ている そんな彼女を尻目に私は辺りを見回す どうやら着いたようだ 開けた土地には大きい屋敷が構えていた 元はなかなか豪奢な屋敷だったに違いないが、見る限り手入れが行き届いているとはお世辞にも言えなかった 雑草は生い茂り窓には蔦が這っている 白色の壁もペンキがところどころはがれており、夜中に来ればちょっとした肝試しになりそうだ
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