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「…………と、言う訳なんです。由貴様、由良様、お願い出来ませんか?」
あれからへちま君を池に残しお屋敷に戻ったボク達は、広いダイニングルームで豪華な食事をいただきながら、屋敷に到着したばかりの由貴様と、弟である由良様にお願いをしていた。
「ほう、カッパか。そう言えば、昔まさ爺が畑仕事を手伝ってくれる緑の子供の話をしていたが。…………まさか、カッパとはな」
由貴様は綺麗な顔でくくっと笑い、由良様を見つめた。
「由良、一緒に連れて行ってやれ。山口さんも喜ぶだろう」
「分かりました、姉上。もとよりそのつもりでしたが…………その。僕にはへちま君とやらが見えないのです。…………何故、何故なんでしょうか………」
そうなんだよ。へちま君も誰にでも見える訳じゃないらしい。由良様にお願いしたらカッパがいるのかとすごく喜んで、一緒に池まで行ったのに何故か由良様にだけ見えなかったんだよね。
副会長は由良様に気を使って見えない振りをしていたけど、あれは完璧見えてたな。副会長のあんな驚愕した顔見たの初めてだよ。
「…………何故だ。何故、見えないのかな、春花君……」
「…………由良よ、そういうこともあろうよ。その内見えるようになるかもしれんしな」
「そ、そうですよね、姉上」
あんなにしょげ返っていた由良様は、由貴様のひと言ですっかり元気を取り戻した。さっすが由貴様。聞いた話では、女帝と呼ばれているらしいよ?格好いいなぁ。
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