『新聞部長についての考察』

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ボクは氷川 学(まなぶ)。 この、伝統ある萌伏学園新聞部に所属している。 一年生の時は先輩方の取材について回っていたが、二年生になった今は書き手、所謂記者として相棒と一緒に日夜スクープを探し回って……………………は、いない。 我が校の校内新聞は、穏やかなものだ。あらかじめ取材先にお願いして段取りをつけてもらい、相棒と一緒にインタビューに行くのがボクの主な仕事。 もちろんそれを文章に起こすのもボクの仕事だ。相棒の穂村はカメラ担当だから、ひたすら写真を撮りまくっている。 「…………い。おい、氷川ー。お前、まぁた飛んでたぞー?取材、行かなくていーのかよ?」 …………はっ!!取材!? そうだ、今日は! 「部長っ!!ボク、今から取材に行って来ますっ!」 ボクは愛用の鉛筆と、命より大切な…………あ、この場合の命は穂村の命だからね。学園のあらゆる情報がビッシリと詰まったメモ帳を引っ掴むと、新聞部の部室を飛び出した。 後ろから、穂村の溜め息と、「またかよ…………」の呟きが聞こえて来たけど気にしない。 ボクには学園のあらゆる事象をスクープするという、使命があるんだ。 ん?さっきスクープなんか仕事に必要無いって言って無かったかって? ふふふ。 表の新聞にはスクープは必要ないよ。 でも、一部のコアなファンがついたボクの『裏新聞』には、必要なんだよスクープがね! さあ、今日のターゲットが動きだす時間だ。 数日前から上手く紛れられるように、下準備は万全だし。今日は大スクープゲットの予感っ!
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