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勢いよく部室を飛び出したボクは、数メートル程進むと空き教室に飛び込んだ。
数十秒後、慌てて穂村が同じ様に教室へ滑り込んで来た。
「も~。穂村おっそいよ~。ターゲットが動き出したらどうすんのさぁ」
コソコソと窓際に寄ると、鍵を開け外に出る。
あ、新聞部の部室は校舎の一階なんだ。
「…………はあ。なぁ、いつまでやんの~氷川」
「んーーー、え?今何か言った?」
相変わらずトレードマークのような溜め息を吐き、穂村が首を振っている。
…………いつか、穂村の溜め息についても考察して見よう。もしかしたら、大スクープにつながる発見があるかもしれない。
ボクが苦労して窓から出たというのに、背が高い穂村は軽々と窓枠を超えて来た。
…………あ。何か今イラッと来たね。
「…………穂村の脚の長さは、人を不愉快にするよね。…………今度、脚の長さランキングを」
「…………せんでいーから。ほれ、見逃しちまうぞ?」
穂村が顎で指す場所には、一人部室でパソコンを扱う我が新聞部部長の鳳(おおとり)先輩。
うちのネェちゃんが、その名前でもっさりビン底ダサメガネってどういうことよと騒いでいたけど、ボクの注目ポイントはそこではないのだ。
コソコソと移動し、新聞部の近くまで移動する。
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