233人が本棚に入れています
本棚に追加
部長はパソコン画面に集中していた。
彼の背後まで辿り着ければ、あのパソコンの中身が見える。問題は、部長に気付かれずに辿り着けるかって事だ。
辿り着ければボクの勝ちだ。考察通りなら、間違いなく彼はーーー。
「…………そこにいるのは誰?」
部長がこちらを見ている。ええ!?もう見つかったわけ!?
息を詰めてそっと部長を伺うと、部長の視線が僅かにズレている事に気付いた。
…………よし、見つかったのはボクじゃない。呆れた顔でまだ空き教室前にいる穂村でもない。
…………じゃ、誰だ……?
気になる。…………部長が隠しているパソコンの中身より気になるよね。
ボクは人の知らない新しい事実を知る事が大好きだ。それは他人の秘密を暴くのと同じ事で、褒められた行為ではないのも分かっている。
だけど、ボク自身は秘密が好きな訳ではない。別に秘密であろうが無かろうが、興味を持ったらただ知りたい。
とにかく知りたいんだ。
そして、知ったからってその先に興味がある訳でも無い。知ってしまえば満足する。気持ちがゆったり落ち着いて、素晴らしい充足感。
そう。次のターゲットを見つけるまでの、ほんの僅かな間だけ。
裏新聞はそんな過程から出来上がった訳だけれど、決して暴露新聞ではない。掲載にあたっては、必ず本人の了解も得ている。
だから取ったスクープ全てを載せている訳でも無い。裏新聞は、みんなが幸せになるようなスクープを!が目標なのだ。
ボクの興味は尽きることが無いらしい。直ぐに新しいスクープを探しに飛び出してしまうのだから、これはもう性分だと自覚している。
「君は…………どうして君が…」
ん?部長の知り合い?ボクは穂村に回り込めとジェスチャーを送った。
おい穂村、ダルそうに無視するなよー。
最初のコメントを投稿しよう!