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寂しさのあまり、冷たくなって動かない、小さな塊となって……。
「王子は自分にとって一番大切な物はなんだったのか、わからなくなってしまう所でお話しは終わってしまうのよね」
「僕は嫌いだな」
え?
ぴしゃりと。
智哉君は吐き捨てるように言った。
「わかるよ~。佐倉はこういうおとぎ話は苦手そうだもんね」
「そうじゃない。 この王子の行動が気に入らないんだ」
「え……」
「ふーん、まあ、わかるけど。一応聞いてみようか?」
「最初は王子は白い小鳥と一緒にいたのに、それを置いて旅に出るだろう?」
「じゃないと話しが進まないからね」
「王子は旅に出ちゃいけなかったんだ。一生、小鳥と暮らしていけばよかったんだ」
それだと、話しにならないじゃない……。
「小鳥をだれに触らせないで、2人でいればよかったんだよ」
「ははは。そりゃあものすごく独占欲が強い王子様だねえ」
「まあね」
智哉君、そっけない……。
「もう、智哉君にはkの話の良さがわからないのよ」
「そうかもね」
そのまま。
智哉君は行ってしまった。
「あーあ、怒らせちゃった」
「え、私なにか悪いこと言っちゃった?」
すると、美琴ちゃんはニヤニヤしながら。
「まあ、佐倉も苦労するってはなしだよ」
「……」
「あんたの王子様好きは仕方ないけど、少しは周りを見回せってこと」
「え……」
「まああたしは王子様より玉子様だけどね、ははは」美琴ちゃんはお弁当の玉子焼きを口の放り込んでそう笑った。
それから美琴ちゃんとお昼を食べたんだけど。
私は、智哉君の不機嫌の理由が気になって、あまりおいしいとは思えなかった。
「ふう、一人なんてひさしぶりかな……」
晩ご飯の買い物が早く終わったので、公園のベンチで一休み。
賑やかなのは楽しいんだけど、時々はひとりになりたいのよね。
見ると、子犬がことこと歩いている。
「……ふふ、こっちおいで」
私は手招きしたのだけれど。
「シュガー! こっちにおいで!」
飼い主らしい男の子に呼ばれて、向こうへ行ってしまった。
私は子犬を目で追いかけながら、ため息をついた。
「……いいな、犬、飼いたかったな……」
「かなたちゃんは昔から犬が好きだったね」
背中のほうから声がしたので、私はあわてて振り向いた。
「智哉君! どうして」
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