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最後にそうやって念を押す智哉君。
本当に心配性なんだから。でも、私には、このペンダントがついてるんだもん。平気よね、おばあちゃん。
胸の中でおばあちゃんに話しかけながら、ペンダントをかざせば、秋の澄んだ日の光にきらりと光った――
「へえ……」
「智哉君、そんなにキョロキョロ辺りを見回してどうしたの?」
「ああ、もう何度も君の家には遊びに来てるのに、恋人として来てみると、また雰囲気が違うものだなと思って」
この前、私は智哉君から告白されて、それで私たちは付きあうことになったの。
「そう?」
そう言われても、ずっと暮らしてる私にはよくわからないよ。
「君も今度、僕の家に来てみればわかるよ」
「えっ、うん……」
智哉君の家に遊びに行くってことは、おばさまともお話しすることになるよね。
うーん。どんな顔してればいいのかな? 彼女ですって改めて言うのもおかしいわよね。
「ふふふ。もう僕の気持ちがわかったみたいだね」
「うん。なんとなくね」
付き合うって、智哉君との関係が変わるってことだけじゃないのね。なんだかくすぐったい感じ。
「さて、そろそろ来る頃だと思うから、君も魔物たちを呼んできてくれないかな?」
「えっ? 来るって誰が?」
「学校にいる間に、藤堂君と奏さんに声をかけておいたんだ」
「どうして?」
「ちょっとね」
変な智哉君……。
そう思ったけど、別に反対する理由もないから、私はキッチンでおやつをむさぼっている3人を呼びにいった。
「ねえ、フロリア、ロイ、ユーゴ。ちょっと来てくれる?」
「おやおや。君もいけない子だね。恋人の前で他の男と仲良くして、ジェラシーを煽る作戦かい?」
「違うよ。智哉君が呼んでるの」
「はあ? なんだよ? 俺たちに見せつけるつもりか? なあ、おまえ、そんなのろけた男、やめた方がいいぜ」
「ロイ……あなた、なんてこと言うのよ」
「面倒だな……」
「お客様のおやつ、出してあげるわよ」
そういった途端、返事もなしにロイの姿が消えた。
「お菓子があるなら、いいや」
ユーゴものんびりと言って、キッチンの上のチョコレートを全部持って、リビングに向かう。
「何をするつもりか、大体想像はつくけど、仕方ないね」
フロリアだけは、心底面倒くさそうだったけど、結局リビングへ歩いていく。
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