0人が本棚に入れています
本棚に追加
さあ、お茶の準備をしなくちゃ。と思ったところへ、来客を告げつチャイムが鳴った。
「あら、聖君か奏さんかな?」
慌てて、玄関へ向かってみれば、見慣れた顔が2つ並んでる。
「先輩、お邪魔しまーす。でも、なんで、佐倉先輩の用事で、先輩の家なんでしょうね?」
にこにこ笑って聖君と。
「あがるぞ」
相変わらず不機嫌そうな奏さん。
「どうぞ。あがって」
私は2人を連れて、リビングへ向かった。
「これで全員そろったね」
それを見て、智哉君はにっこりと微笑んだ。
「なんだよ! 偉そうにもったいぶってないで、話がるならさっさと家よ」
「聞きたくもないけどね」
「それは残念だな。僕は、特に君に聞いてもらいたいと思っているのに」
にっこり笑うフロリアと、智哉君の間でバチバチ火花が飛ぶのが見えるよう。
「あっ……」
一触即発の空気を、ユーゴの間の抜けた声が追い払った。
何事かと思えば、ユーゴの手から落ちて、コロコロと転がったアーモンドチョコが、智哉君の足下へ。
苦笑いした智哉君はチョコを拾い上げて、ユーゴに手渡すと、あらたまった表情を作った。
どうしたのかな?
「さて」
クルッとみんなの顔を見渡して、おもむろに私の腕を引く。
「はっきりさせておくべきだと思ったから、言わせてもらうけど、僕たち付き合うことになった」
「と、智哉君」
そんなみんなの前で発表しなくても~。
「というわけだから、手を出したら、許さないよ?」
にっこり笑って、またみんなを見回す。
「それは、自分の魅力では、彼女を引き止めておく自信がないってことかな?」
目が合った途端、フロリアが意地悪く口を開いた。
「負け犬の遠吠えって言葉、ご存知です?」
あ~あ。また始まっちゃった。
「ちょっと2人ともやめてくださいよ。先輩が困ってるじゃなですか? 先輩が好きなら、ちゃんとお祝いしてあげないと」
「はっ! 俺は、お祝いなんか言わないからな! 俺たちがずっと狙ってたのに、横からかっさらっていきやがって」
「ふふふ。それを言うなら、僕の方が先だよ。君がまだ封印されている頃から、彼女を想っていたんだからね」
「じゃあ……仕方ないのかな……」
「俺には関係ないことだ。失礼する」
「時間をとらせて悪かったね」
「まったくだな。僕も失礼するよ」
最初のコメントを投稿しよう!