第1章

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 さあ、お茶の準備をしなくちゃ。と思ったところへ、来客を告げつチャイムが鳴った。  「あら、聖君か奏さんかな?」  慌てて、玄関へ向かってみれば、見慣れた顔が2つ並んでる。  「先輩、お邪魔しまーす。でも、なんで、佐倉先輩の用事で、先輩の家なんでしょうね?」  にこにこ笑って聖君と。  「あがるぞ」  相変わらず不機嫌そうな奏さん。  「どうぞ。あがって」  私は2人を連れて、リビングへ向かった。  「これで全員そろったね」  それを見て、智哉君はにっこりと微笑んだ。  「なんだよ! 偉そうにもったいぶってないで、話がるならさっさと家よ」  「聞きたくもないけどね」  「それは残念だな。僕は、特に君に聞いてもらいたいと思っているのに」  にっこり笑うフロリアと、智哉君の間でバチバチ火花が飛ぶのが見えるよう。  「あっ……」  一触即発の空気を、ユーゴの間の抜けた声が追い払った。  何事かと思えば、ユーゴの手から落ちて、コロコロと転がったアーモンドチョコが、智哉君の足下へ。  苦笑いした智哉君はチョコを拾い上げて、ユーゴに手渡すと、あらたまった表情を作った。  どうしたのかな?  「さて」  クルッとみんなの顔を見渡して、おもむろに私の腕を引く。  「はっきりさせておくべきだと思ったから、言わせてもらうけど、僕たち付き合うことになった」  「と、智哉君」  そんなみんなの前で発表しなくても~。  「というわけだから、手を出したら、許さないよ?」  にっこり笑って、またみんなを見回す。  「それは、自分の魅力では、彼女を引き止めておく自信がないってことかな?」  目が合った途端、フロリアが意地悪く口を開いた。  「負け犬の遠吠えって言葉、ご存知です?」  あ~あ。また始まっちゃった。  「ちょっと2人ともやめてくださいよ。先輩が困ってるじゃなですか? 先輩が好きなら、ちゃんとお祝いしてあげないと」  「はっ! 俺は、お祝いなんか言わないからな! 俺たちがずっと狙ってたのに、横からかっさらっていきやがって」  「ふふふ。それを言うなら、僕の方が先だよ。君がまだ封印されている頃から、彼女を想っていたんだからね」  「じゃあ……仕方ないのかな……」  「俺には関係ないことだ。失礼する」  「時間をとらせて悪かったね」  「まったくだな。僕も失礼するよ」
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