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(みずほが何も言ってくれないんが悪いんだ!)
心が悲鳴を上げた。
俺はこともあろうに、全てをみずほのせいにしようとしていたのだ。
遂にそれを……
其処まで料簡の狭い奴に成り下がっていた。
何故自殺するまでに追い込まれていたのかなんて知りもしないくせに、俺は自分の保身ばかりに気がいっていたのかも知れない。
ふと我に戻った。
何故何も言わなかったのだろう。
自殺することを考えていたのなら、なんで俺が気がつかなかったのだろうか?
もしかしたら死ぬ気なんかなかったのではないのだろうか?
(何故だ? 自殺する理由は何だ?)
足りない頭で考える。
でも答は出ない。
それでもあれこれと考える。
みずほに悪いことをしたと謝りながら……
俺はキスしている最中もただ、先にグランドに行った仲間を気にしていただけだ。
何時もキスだと思って、深く考えていなかった。
みずほが早くキスを止めてくれないかと、そればかりで思慮してなかったのだ。
あの時、キスなら又明日出来るのに……
と思っていた。
まさか最後になるなんて思いも寄らなかった。
まだみずほの死が本当のことかどうか判りもしない内に、俺はメールの内容を信じ込もうとしていただけなのかも知れない。
俺はもう一度冷静になろうと思ったんだ。
(だから自殺なんて有り得ない! そう思わせてくれ。きっと事故だ! あいつが自殺することだけは、絶対にない……あいつが俺に何も言わないで突然逝くはずがない! 俺を残して逝くはずがないんだ!!)
心の中で絶叫しながら、高校で待っているはずのみずほに向かって息急き切っていた。
あいつとの思い出が浮かんでくる。
どうしようもなく愛しくなる。
あいつの存在がこの世から消える……
そんなこと……
あってたまるか!
(もしかしたら殺し?)
そんな疑問がよぎる。
実は俺……
叔父の経営している探偵事務所で、学校にも恋人にも内緒でアルバイトしている。
だからそんな考えが浮かぶのだろうか?
(もしそうだとしたら、犯人は誰だ?)
俺は遣ってはいけないこと思いつつ、一人一人の同級生の顔を思い出していた。
(同級生か? それとも……)
脳みそバーンと遣られた俺は、何が何だか解らず、ただがむしゃらに学校へと急いでいた。
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