序章

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 そんなある日。 学校で集まりがあったようで継母が教室にいた。私は一緒に帰れると思って近付いた。でももう一人傍に寄って来た人がいた。  「やっぱり……」 そう言ったのは担任だった。私は慌てて陰に隠れた。何かがあると直感し、見ないほうが良いと思ったからだった。 私の姿を見ると継母も担任も戸惑うと思ったのだ。 「入学式の時から気になっていた。あれからどうしてた?」 (ん? もしかしたら二人は知り合い?) 頭の中で思考が駆けまくる。やはりそうだったのかと思いつつ、好奇心で二人を見ている私がいた。 (きっと恋人同士だったんだ。そんな二人の仲を父が裂いた?) 私は父が急におぞましく感じていた。 だって父は私の世話をさせる目的で継母に近付いたのだ。まるで家政婦のような扱いだったから常日頃から疑問に感じていたのだ。 父は継母に家のことを全部任せっぱなしだった。そのくせ質素な食事しか与えなかった。 だから継母は短期間でやせ衰えてしまったのだ。 だから担任も最初は判らなかったのではないだろか? でも父は親戚の集まりでそのことを公表しなかった。 結婚したばかりの妻を濃き使っているなんて言えなかったのだ。 だから継母は陰で、財産目当て結婚したのだなどと言われていたのだ。 そんな人じゃないことは一緒にいる私が良く知っている。家事一切やってくれるし、私の勉強もみてくれる。継母は本当にいい人だったのだ。  私は父が継母を連れて帰って来た日、市役所に提出する婚姻届けに記入する現場を目撃した。 だから継母は納得して結婚しているものだと思っていた。本当はよりによってこんな人と……なんて馬鹿にしていたのだ。 父はお世辞にも格好いいなんて言えない。だからちょっと同情していたのだ。 『お母さん』 だから私は歳の近い姉のような継母を親しみを込めてそう呼んだのだ。 継母も本当の娘にように私を可愛がってくれた。 だからみずほに継母を褒め称えた。私は継母が大好きな振りをしていたのだ。 そうしないと可哀想だったからだ。父のような傲慢な男性に嫁いでしまった継母に優しく接してあげたくなったからだった。
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