序章

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 私は去年。上熊谷駅近くにある星川の灯籠流しの時に道に迷って、一つ中に入った道をうろうろしたことがあった。その時、イワキ探偵事務所なる手書きの看板を見た。 初めてだったから興味が湧いた。 探偵事務所と言ったら、殺人事件をスマートに解決させたりするテレビドラマの中だけの職業だと思っていた。だから本当にあったんだと、感激したことを覚えいる。 だから調べてみたんだ。そしたら、浮気の現場などを押さえる仕事殆どだと書いてあった。 だからどのように継母を手入れれたのか、何時か調べてみたいと思っていたんだ。 勿論継母を貶めるためなんかじゃない。その反対に、庇ってやりたくなったのだ。  入って良いのか解らず、私はイワキ探偵事務所の周りを彷徨いていた。 そんな時見覚えのある顔が近付いて来た。 それはみずほの彼である磐城君だった。私は慌ててアパートの陰に隠れた。 (何で磐城君が此処にいるの?) その答は自ずとイワキ探偵事務所に行き着く。 磐城君はイワキ探偵事務所でアルバイトをしているのかも知れない。 そこで私は私なりの行動してみることにした。 つまり尾行だ。 素人が探偵の後を付けるなんて馬鹿野郎のやることだ。でも好奇心を押さえられなかったのだ。  磐城君は女装もしていた。 私がその事実を知ったのは、イワキ探偵事務所に依頼した浮気現場押さえの当日だった。 探偵事務所って言う名で勘ぐってはいたけれど、まさか彼処で女装している磐城君を目撃するとは…… 磐城君のオジサンは元警察官で、自分の探偵事務所を構えていた。 私はそのイワキ探偵事務所に、継母に成り済まして、恋人の素行調査を依頼したのだ。  継母の保険証を無断で借りた。 何時も財布の中に入っていることは調査済みだったからだ。 そしてバッチリメイクを決めて、歳を誤魔化したのだ。
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