突然のメール

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 (あーバカ何遣ってる! みずほに言われた通りスマホにしとけば良かった!!) みずほとお揃いのスマホを見に行って、結局安い携帯電話にした俺。 みずほは渋ったが無理矢理押し付けた。 だってスマホ一個分で二個……いや、それ以上買えたからだ。 (瑞穂(みずほ)のケチンボ) そんな心の声が聞こえた。 (ごめんみずほ。あの時はこれで精一杯だったんだ。許してくれ!!) そんな思いでやっと開けた携帯から飛び込んで来た『助けてー!!』。 それはみずほからのSOSだった。 携帯を持つ手がワナワナと震える。 「どうした!? 何があった!!」 でもみずほはそれ以上何も言わない。 「お願いだみずほ何とか言ってくれ!!」 でも返事はない。 俺は居たたまれなくなって、今来た道を蜻蛉返りしていた。 それが今、学校を目指している真相だった。  それなのに、次に届いたメールがあれだ。 見た途端。 稲妻に撃たれたように、立ち上がれなくなった。 余りにも衝撃的過ぎて、暫く動き出せなかった。 それでも、重い足を引きずってやっとペダルに乗せた。 みずほの元へ…… 行きたいのに…… 気持ちだけ焦って…… 上手く自転車を漕げないんだ。 みずほが待っていると言うのに。  (一体何のために? 背景も、動機も見えて来ない……第一。『助けてー!!』って叫んで……何が自殺だ!) 頭の中は混乱している。でも俺は必死にみずほと過ごした半日を思い出そうとしていた。  俺達はさっき教室でキスをしたばかりだ。 勿論誰も居ないことを確認してからだけど…… そうじゃないと俺…… 恥ずかしいよ。 でもみずほは、何処でもキスしたがる。 本当は嬉しいくせに…… 俺……人目ばかり気にしてた。 『試合頑張ってね』みずほはそう言いながら、ありったけのラブをチューニューしてくれた。 何時もより激しいキスに戸惑った。 俺と離れたくなかったのだろうか? そのままずっと見つめるみずほ。 でも俺は試合を選んだ。 何故あの時、何かあったと思わなかった!? 俺の気持ちがレギュラーと言う文字に惑わされていたからだ。 だからみずほのSOSに気付かなかったのだ。 でも、自殺をするほど思い悩んでいたか? 俺との交際は順調だったし…… 一体何が原因なのだ。 俺はやり場のない怒りに震えながら、さっき来た道をひたすら走り続けていた。
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