俺とあいつ。

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岸本は無神経で、少し変な奴。 そして、ちょっと勘が鋭い。 「…………いいよ、もう。別に……」 「お前、好きな奴でもいんの?」 っどこが反省してんだ、こいつ!? ここでその質問とか、マジあり得ないし!! 「いねぇよ!!」 「ふーん。じゃあいたんだ?マジで好きだった奴」 「ーーーー」 図星をさされ、思わず口を噤んでしまう。 咄嗟に言い返すことが出来なかったせいで、その言葉を肯定してしまったことになった。 ああ。 最悪。 俺の初恋のことを知っているのは、玲二だけで良かったのに。 「もー、お前とは一緒に帰んない!」 またプイと顔を背けて足早に歩き出俺を、相変わらずの大股で岸本が追いかけて来る。 「何だよ春山?別に好きな奴ぐらいいたって普通じゃねぇか」 普通じゃない。 だって俺の場合、相手は先生でしかも男だ。 普通じゃないよ。 親友の玲二以外にはこんなこと、絶対に話せない。
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