俺とあいつ。

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「春山ってホント、熱い奴だよな」 言われたって驚かない。 熱い奴だなんてもう、今まで何度となく言われ続けてるし。 親友の玲二になんて、それで何度呆れられたか。 でもいいんだ、別に。 俺は自分を変えられないし、変えるつもりもないから。 ただ。 大人になりたいとは、切実に思うけど。 「まぁ、嫌いじゃねぇよ。お前のそーゆーとこさ」 ニカっと笑う岸本は、また俺の頭目掛けて手を伸ばして来る。 途中でふとさっきの俺の言葉を思い出したのか、「あ」と口を開いたあと出ていたその手を引っ込めた。 「別にガキ扱いなんてしてねぇんだけどな……」 ボソリとそう呟きながら、ポリポリ頭を掻いている。 なんて言うか。 岸本って、変な奴で無神経で。 でもって。 憎めない奴。
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