未来への一歩

8/11
前へ
/144ページ
次へ
「っんなんだよ……ッ、なんで、今なんだよッ……!」 俺をきつく抱き締めながら、岸本が大きく声を荒げる。 「ごめんな……?岸本」 「ーーーーッふざけんなよ!謝んな!」 俺の頭の上にあった岸本の顔が、頬を擦り寄せるように俺の顔へ近付いて来る。 「だ、めだ岸本、ダメだ」 触れそうな唇を避けながら、俺はグッと岸本の体を押し返した。 それでも強引に唇を寄せて来る岸本に、堪らず声を荒げてしまう。 「岸本、やめろ!俺は、新田を悲しませるような事したくない!」 「ーーッだったら俺はどうなんだよ!?新田新田って、俺の気持ちはどうなんだよ!!」 そんな、の。 そんなの。 そんなの考えたら、飛び込みたくなるだろ? 新田も梶山も、全部全部忘れてさ。 まだ俺を好きでいてくれたお前に、今すぐにでも飛び込みたくなるだろう? それがダメなんだって事は分かってるから。 だから。 だからーーーー。 「ーーーーお前が新田を選んだろ!?適当な事はすんな!本気で大事にしてやれよ!!」 俺は、お前を突き放す。 俺の気持ちと共に。 お前の気持ちにも、区切りを付けてやる。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

511人が本棚に入れています
本棚に追加