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「っんなんだよ……ッ、なんで、今なんだよッ……!」
俺をきつく抱き締めながら、岸本が大きく声を荒げる。
「ごめんな……?岸本」
「ーーーーッふざけんなよ!謝んな!」
俺の頭の上にあった岸本の顔が、頬を擦り寄せるように俺の顔へ近付いて来る。
「だ、めだ岸本、ダメだ」
触れそうな唇を避けながら、俺はグッと岸本の体を押し返した。
それでも強引に唇を寄せて来る岸本に、堪らず声を荒げてしまう。
「岸本、やめろ!俺は、新田を悲しませるような事したくない!」
「ーーッだったら俺はどうなんだよ!?新田新田って、俺の気持ちはどうなんだよ!!」
そんな、の。
そんなの。
そんなの考えたら、飛び込みたくなるだろ?
新田も梶山も、全部全部忘れてさ。
まだ俺を好きでいてくれたお前に、今すぐにでも飛び込みたくなるだろう?
それがダメなんだって事は分かってるから。
だから。
だからーーーー。
「ーーーーお前が新田を選んだろ!?適当な事はすんな!本気で大事にしてやれよ!!」
俺は、お前を突き放す。
俺の気持ちと共に。
お前の気持ちにも、区切りを付けてやる。
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