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「っふざけんなッ……っざけんなよ!」
「っぃ、ってぇ!」
両肩を押さえられたまま机に押し倒された俺は、それでも懸命に岸本の想いを拒んだ。
「やめろ!頭冷やせよ、岸本っ!!」
「うるせぇッ!黙れ!!」
「ッぁ、っや……ぁ、」
首筋に噛み付かれ、そのまま大きく舌が這う。
ぞくりと背筋に電気が走り、目の前がくらりと激しく揺れた。
鷲掴みされたように心臓がぎゅうっと締め付けられ、全身の熱が溢れ返って来る。
「っ、ゃめ、やめろ、岸本!!」
あの時と、同じだ。
自分の気持ちを思い切りぶつけて来る岸本に、何も出来なかった自分。
でも。
違う。
今は、違う。
俺はもう、一歩を踏み出したんだ。
迷わない。
間違えない。
「ーーーーーー岸本」
ぎゅう、と。
両腕をその首に回し、優しく強く抱き締め返す。
間違えないように。
逃げ出さないように。
終わらせる、ように。
「……ごめん、岸本……ごめん……………ありがとう」
どうか、俺の想いが伝わりますように。
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