俺とあいつ。

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サッカー部の練習が終わったあと、俺は一年の時からずっと続いている居残り練習を今日もやっていた。 特別技術があるわけでもない、というかどちらかと言うと下手くそな俺だけど、 そこは膨大な練習量でカバーしているつもりだ。 やる気だけは人一倍。 いや、二倍、三倍…… うん、とにかく、めちゃくちゃある。 サッカーが大好きだから。 「春山~」 ドリブルの練習をしていると、運動場の端から自分の名前を呼ぶ声がする。 動きを止めて顔を向けると、そこには天堂先生が立っていた。 天堂、先生。 「今日は怪我してねぇか?もうすぐ出るけど処置すんなら今のうちだぞ?」 そう言いながら面倒臭そうに後頭部をポリポリとかく姿に、思わず小さく笑みがこぼれる。 天堂先生。 一年の頃から、自主練で出来た怪我を治療してくれていた、保健の先生。 そして。 「うん、大丈夫」 「そうか。お前も随分怪我しなくなったもんだな?」 そうやって微笑む顔に、何度心を揺さぶられただろうか。 初めて人を好きになり。 そして初めて失恋した相手。 俺はこの人が、本当に大好きだった。
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