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「メロン味、うまい!」
いつものように、お金を割り勘で新発売商品をコンビニで一つ買い、
コンビニの前で袋を開けて食べ始める。
「ん~、俺は微妙」
「え!超うまいじゃんか!」
美味しく頬張る俺を見ながら、岸本は微かに眉を寄せている。
「お前メロン好きだろ?俺そんな好きくねぇし」
そう言ってもう一つ食べたあと、お菓子の袋を俺に向けて差し出して来る。
「ん。俺もーいいわ」
「え、マジで?あ、じゃあお金払う」
「ンなもん別にいいよ」
胸に押し付けられた袋を受け取ると、そのまま岸本の手が袋から俺の頭に移動する。
クシャッと頭を撫でられた瞬間、「またか」と思った。
たまに岸本は、こうやって俺をガキ扱いするみたいに頭を撫でて来る。
ガキ扱いされることは、嫌いだ。
ハッキリ言って、大嫌い。
初めて恋をしたあの先生も、俺をとことんガキ扱いしていた。
絶対に手が届かないと分かっていて、それでも好きで好きで堪らなかった人。
告白をして、キチンと気持ちを受け止めてくれたうえでフられた俺は、気持ちに区切りを付けることが出来た。
そして、思ったんだ。
もっともっと、大人になりたいって。
先生に未練があるわけじゃないけど、イイ男になったな、って言われるほど大人になりたい。
だから、ガキ扱いは、大嫌いだった。
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