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「……なに拗ねてんの?」
俺の様子に気付いた岸本は、不思議そうな顔で俺を見つめている。
「……拗ねてねぇし」
「いや、拗ねてんじゃん!なんで?」
俺よりも15センチほど背の高い岸本は、腰を折り曲げて顔を覗き込んで来る。
それをプイと避けると、お菓子の袋をつかんだままサッサと歩き始めた。
「おい、春山~?」
最近分かって来た岸本の生態。
こいつは結構な無神経だ。
言いたいことはズバズバ言うし、気に入らないことは絶対にしない。
俺がこうやって拗ねたり機嫌を損ねていると、触らぬ神に祟りなし。なんてことは決してなく、
なんで?だの、どうした?だの、色々と質問を投げかけて来る。
気にならなければどこまでも無関心なのに、気になればとことん追求して来る自分勝手人間。
でも、嫌いじゃない。
俺も、自他共に認めるほど正直者な性格だから、岸本のまやかしが一切ない性格は嫌いじゃない。
「春山~、なになに、どうしたの?俺なんかしたかよ?」
しつこいけど。
うん。
めちゃくちゃ、しつこいけどな。
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