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「拓斗くん~入って来てくださーい。」
「へーい。」
俺が転入することになった2―K担任で成人とは思えない背の低さや童顔の眼鏡っ娘という完璧ラノベキャラである宮野仔子呂(ミヤノココロ)教諭の幼い声にできるだけダルそうな返事をした。
俺が孤立を目指すために考えた最悪の印象を与える態度である。
ちょっと眉間にシワを寄せて、不機嫌そうにしたら、ほら完璧!
後はいかにも喧嘩腰っていう挨拶をするだけ……
なんて考えながらなんの警戒もせずに(いや、普通警戒するような場面じゃないけど)ドアを引いた俺は、不意の衝撃に驚くはめになった。
「う……わぅ……!?」
犬か!?
もしくは最近全く見ないあの芸能人か!?
なんて悲鳴を―いや、奇声を上げた俺の顔面を襲ったのは異様な感触と衝撃――正確には、勢いよく噴射してきた枕……だった。
いや……何で?教室に枕?その前に何で投げるの?枕投げ?
しかも、柔らかいが、とんでもない威力で飛んできたため、それがもたらす被害は当たり所が悪ければそれは災難な事になるだろう。
なんでこんな目に……
幸い、鼻血は出ずにすんだ、いや、孤立したいのだから別に鼻血位出しても支障はないが、俺のプライドが許さん。
「大丈夫ですか~?拓斗くんも当たってしまいましたか~」
間延びした、気の抜けるような台詞にため息をつき…
…は?
今、この人何て言った?
拓斗くん――も?
「!!………あん!?」
慌てて仔子呂教諭の顔を見るべく顔を持ち上げると俺は古いヤンキー漫画みたいな声を上げた。
なんと、教諭のチャームポイント、(みんな大好き眼鏡ちゃん!)が綺麗に粉砕していた。
フレームごとガッツリだ。
えへへ~と頭をかく割れ眼鏡ちゃん。
「枕で眼鏡粉砕した!?」
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