転校先が異常

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「私は枕じゃないんですよ~」 「いったい何をスパーキングされたんですか。」 「マグロですー」 「まさかの海産物!?」 なにほがらかぁに言ってるんだ!! 一大事だろ!よく眼鏡だけで済んだな!? 「っていうか、マグロを投げるってどんな力持ちですか!?」 「あ、マグロと言っても、切り身の方ですよ~?」 「そっちの方がイリュージョン!!刺身で眼鏡粉砕とか枕でやるより難易度高すぎですよ!」 「元気でいいですね~」 「いや、叫ばずにはいられな…………」 あ。 俺はやっと気づいた。 クラスメイトのキラキラとした視線に― 「まさか……」 このクラス、全員ボケ要員か!? しまった、孤立を目指すはずがまさかのクラスのツッコミ役としてデビューするなんて…… …………仕方がない、挨拶だ。 そこで圧倒的近付きにくさを植え付けるしかない。 そうと決まれば、緩んだ表情を固くし、眉間にシワ、口はへの字。苛立っているようなオーラを身に付けて…… よし、突然の雰囲気の変化にクラスメイトが微かに動揺している。 あと一歩だ。 教卓の横、先生の右側へ移動し、仁王立ち。 「前置きが長くなったが、転校生の野脇拓斗だ、初めに1つ言っておく、俺はお前らと仲良くする気はねぇ、一度でも話しかけてみろ、そんときゃ……ええと、あれだかんにゃこらぁ!!」 なんか色々失敗した感はあるが言い切った。 静まる教室。 ん……なんか、沈黙が無性に恥ずかしいぃ!! 先生!!やめて!!呆然と立ち尽くさないで! 「……いや。」 小さく口を動かす。 何言っているんだ俺は、このままみんなと仲良く~なんて考えていたのか? 自分の弱さに吐き気がする。 俺は、おれが友達をもったり、楽しくクラスメイトと会話するなんて、出来るわけ――許されるわけ無いじゃねぇか。 これでいい。 おもいっきりすべって引かれて、一人になれば。 最悪の転校生活になろうと。 俺には充分じゃねぇか。 「挨拶はこれで終わりだ。先生、俺の席は、あの空いている席か。」 「はいーそうですよ~。」 相変わらずマイペースな先生の返事を右から左えと(某芸人の歌のように、古いけど)聞き流し、窓側列の内側、後ろから二番目に当たる席へ向かうと、机の横にあるフックに手提げ鞄を掛けた。 静かな教室の空気を崩さないように気を付け椅子を引くと腰を落ち着かせた。 しん、と静まり返った世界に椅子の軋む音が響く。
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