始まりの朝

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「いっ…てぇ……」  女の子に激突されたのは初めてだ、なんて思いながら振り返った。 「ごめんなさいっ」  すかさず、相手からの謝罪が耳に飛び込んできた…。  目前にいたのは、小柄な女の子だった。眼鏡を掛けていて、髪の毛を両の耳の下辺りの位置で縛っている。おとなしそう、と言った感じの子。 「あ…、いや。俺は大丈夫。君は怪我とかしなかった?」  取り敢えず、社交辞令。確実に怪我をしていない事を見越しての言葉だ。 「私は…大丈夫です」  彼女は大きな丸型レンズをずり上げながら笑顔で答えた。…きっと今頃渉は自分の立ち位置を後悔しているだろう。―――ん?待てよ?…アイツ、こんなマイナー腐女子に惚れたっけ?      「御免なさいね、この子、そそっかしくて」  眼鏡っ子の背後から凛とした声が聞こえた。その声に、不覚にもドキッとしてしまった俺がいる訳で…。            「渚ちゃん」  眼鏡っ子が背後の人物の名前を呼ぶ。―――渚、って言うんだ……。 「今のは事故だから、気にしないで」
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