モブ男じゃない。

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「あいつがね、他の女の子に、壁ドンしながら告ってるとこ見ちゃって。 私がいるのに、私がして欲しかったのに…。 好きっていうのは、わたしばっかり…。 私なんて、どうせ…。 どうせ、なな君だって、私を友達としか見てないでしょ? 私がいつの間にか、なな君を好きになったの気づいてないでしょ?」 どうやって帰ったかも覚えてない。 次の日は二日酔い。 酔っ払ってたから、昨日の記憶は、なな君に告白したところしか覚えてない。 こんな告白恥ずかしすぎる。 「明日、返事するね。4時に港公園で待ってて。」 たしか、なな君はそう言ったような。 なぜ、すぐに返事をくれなかったの?。 傷つけない言葉を探すため? また、振られるのかな? なな君に会うのが怖い。 ……………………………………… 港公園。4時。 「なな君。来たよ。」 「美愛ちゃん、ここに来て。」 なな君の言う通りに、公園の事務所を背にしてなな君と向かい合った。 なな君の手が私の顔の横の壁に、 えっ? なな君の顔が近づいてきた。なな君が緊張してるのがわかる。 なな君。顔が近いよぉ。 「美愛ちゃん。好きです。付き合って下さい。」 キュン すごく恥ずかしくて、嬉しくて。 「はい。」と答えた。 後日、どうして公園で告白だったの?って聞いたら、 だって、美愛ちゃんが、壁ドンで告白されたいって言ってたから。 なな君の壁ドンは小説で読むような、S系のイケメンがキメゼリフを言うのとは全然違った。 でも、優しくて、思いがこもっていて、私の大事な思い出。 なな君は、今でも、俺はモブ男だから、って言う。 本当は、私の知ってるだけで5人の人がなな君を好きなの。 教えてあげたら、もう自分をモブ男なんて言わないかな。 でも、なな君は私の彼氏、教えてあげない。
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