逢原纏は魔法少女である

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纏は若干戸惑いを抱きつつも、詳(つまび)らかに説明した。 四日前に水無月高校に転校し、そして同じクラスで過ごすことになったこと、 彼がクラスに馴染もうとせず一人でいることを(その説明をした時、悠一は若干嫌そうにしかめていた)。 「……成程、やっと理解したよ。しかし日笠くんよ」 話を聞いてから、小さく頷いて納得すると、悠一の方をちらりと見て、 「うちの纏を魔法少女と認識出来なかったのは、甘いと思わないかい?一年目の新米とはいえ、一応エースなんだからさ」 呆れたような言い方で、雀は窘めた。 「……面目ありません。音無支部長」 申し訳なさそうに、悠一は頭を下げて謝罪する。 既に彼女のことを支部長と呼んでいる。上下関係には律儀なのだろう。 「しかしまぁ、良かったじゃないか纏。同じクラスメートで魔法少女、あんたの望んだ秘密を共有出来る友達ってのが出来てさ」 「は、はい……こんな形になるとは思いませんでしたけど……」 しかも男子と来た、これは予想外である。 「そうだね。正直アタシも耳を疑ったよ。本部所属の魔法少女に、男が居たなんてさ」 本来、魔法少女になれるのは女性だと聞かされていた。 しかし何らかの原因で、限られた前例であるが、男性が魔法少女に変身出来る事が判明している。 それは本部以外に所属している魔法少女には知らされていない事実で、水無月支部の支部長である雀も初耳だった。 「まぁ何がともあれ、よろしくね悠一くん!」 同じ学校で尚且つ魔法少女ということで、纏は嬉しそうにしながら手を差し出す。どうやら握手を求めているのだろうと悠一は理解した。 「………」 しかし、悠一としては若干複雑そうに顔を曇らせていた。 何故なら、今の今まで彼は、纏のアプローチに対し厄介そうに避けていたのだ。纏が『ティンクルスターズ』の関係者であり、転属先の支部に所属している魔法少女だと思うと、その手を握る勇気が無い。 そう思っていると、痺れを切らすように纏が悠一の手を握ってきた。 握られたことに、悠一は驚いてしまう。 「よろしくね?悠一くん」 「お、おぅ……よろしく」 無理やり握手を交わされた上、こじつけのような言い方に圧を感じ取ってしまい、思わずどもった声で返事してしまった。 「じゃあ自己紹介はここでお開きにして、纏、あんたに話があるんだったな」
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