逢原纏は魔法少女である

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誤解を解くなら学校でも良い気がするが、それは悠一の正体がバレないようにする為の工作活動だったようで、 一刻も早く事を収束せねばと判断しての行動であった。 はたから見れば馬鹿げた行為だと思われがちだが、しかし纏の顔の広さとその行動力のお陰で、その誤解は段々と解けていき、 クラスメート全員の家に訪問しきった時には、日曜日の夕方だった。 「はー、終わったー」 水無月駅前のベンチで一息入れるように座り込む纏。 クラスメート全員の訪問先を全部回り切って、電車で水無月町に戻っていた。 既に日は沈み切っており、夕焼けは段々と影が差してくる。 日の入りが早いとはいえ、流石に遅い時間だ。 家には『友達と出かけてくる』と言っておいては居ても、帰宅が遅くなると心配してそうだ。 「(雀さんにも、街を空けると言ってはいたけど、『盗魔』が現れなかったのか心配だなぁ)」 「逢原」 心配事を考えていたところ、背後から男の呼ぶ声が聞こえてきた。 纏がそちらに振り向くと、日笠悠一が立っていた。 「あっ、悠一くん」 「やっぱりお前か……音無支部長から話は聞いてたが、マジで実行するとは思わなかったぞ」 「だって、別にわたしたち付き合ってるわけじゃないからね。あくまで友達関係だよ」 知るか。とそっぽを向く悠一。照れたというわけではなく、鬱陶しいからくる行動だった。 「しかし、お前も変なやつだな。あそこまで俺に拒絶されてたのに、なんでそこまで俺に構おうとするんだ?」 並大抵の覚悟で接したところで、呆気なく溝を作られておしまいだろう。 だが纏は、そんな並大抵の覚悟で接しようとはせず、 初めから取り入れるつもりで、接してきたのだ。 相手の拒否や拒絶なんて度外視して、自分本位の気持ち最優先で、友達になろうとしてきたのだ。 「ふふん。だってわたしは、友達百人出来るかな精神で接していくからね。一人ぼっちで過ごす人はもれなくわたしの友達になるから!」 人付き合いが苦手な人にとっては、この上なく迷惑なシステムだろう。 しかも諦めが悪い性格が相まって、最早避けては通れぬ強敵と化している。暴力沙汰でも起こさない限りは黙りそうにない。 まぁ、そんなことをしたところで、彼女は全く懲りないだろう。それは悠一がよく解っていた。
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