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◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「むぅ……転校生だったら言ってよ……」
昼休み、開放されている屋上で友達二人と一緒に昼食を食べている纏は、むすっと不機嫌そうに顔を歪ませた。
「いや、勝手に勘違いしたんでしょ、纏が」
「そもそも、一時限目から寝る纏も変だと思うけど」
そんな纏を悪気なく言い返す二人、
高校生ながら大人の色気を感じさせる『虹村七(にじむらなな)』と、
小学生と思わせるような小柄体型の『仙崎美波(せんざきみなみ)』。
二人は普段から過ごしている纏の友人である。ただし二人は、纏が魔法少女をしている事を一切知らない。
一度は秘密を明かそうとも思ったが、かと言って友人に明かして危険に晒させてしまうのもどうかという葛藤の末、結局明かさないという選択に出て現在に至る。
「昨日は運動したからねー……気がついたら夜が明ける一時間前だったんだよ。寝る時間が大いに削られちゃった」
「運動って……纏はトライアスロンでもするつもりなの?」
七は呆れて、牛乳パックの牛乳を飲む。
「運動に専念する暇があるなら、乙女のケアぐらいしなさいよ。夜更かしは美容の大敵なんだから」
「でも、脂肪率は下がると思うよ」
「ついでにお胸の脂肪も削がれるんだろうねー」
不意に、纏の心をえぐるような一言を発する美波。
彼女も体格ともに発育は良い方ではないが、
纏は平均的な身長体重に似合わず、胸囲は控えめであった。
「うぅ……酷いよ美波」
「酷いことはないよ。身長が恵まれてるあんたがわたしにとっちゃ酷く映ってるよ」
あるいは、と七の方をじろりと、憎々しげに目を向ける。
「体格のみならず、お胸でさえ恵まれてる七の方が更に残酷だよ」
「そ、そこは育ち方でしょ……わたしの身体を目の敵にしないで」
思わず胸元を両腕で守るように隠す。
彼女が大人びているのは、そういう所が要因かもしれないと、纏は無意識にそう思った。
「わたしだって、この胸をなんとかしたいとは思ってるのよ。全力疾走したらばるんばるんしてて痛いし、うつ伏せで寝たらバランス悪くて寝れないし」
「それはわたしに対する嫌味かなぁ!」
たわわな胸囲に対する悩み事はむしろ逆効果のようで、美波は頭から七の胸に突撃する。
突撃の際にうめき声を漏らしつつ、七は後方にばたんと倒れてしまった。
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