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気が付いてからどれくらい時間が経ったのだろうか。
曇天だったその空は、まるでこの戦争で血が塗りたぐられたかのように赤く染まっていた。
海は、微かになった記憶の空虚が宿す闇が滲み出したかのように黒く濁っていた。
やがて空からは血を思わせる赤い雨が降り始めていく。
荒れ果てた大地にはその戦争で命を奪われた数多くの生命が倒れている。
??「おい、おいしっかりしろ!!」
そんな絶望の中、唯一生き残った男性。死体が取り囲むなか、彼は希望を捨てず目の前の仲間に呼び掛け続けた。
??「ウソだ…ウソだ!!」
信じたくない現実、しかしそれは紛れもなく目の前にあった。
信頼していた者、尊敬していた者、愛していた者。
その全てを奪われ、彼だけは生き残ってしまった。
??「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
残された彼は死を迎えた目の前の仲間を抱き寄せながら絶望を受け入れるしかなかったのだ。
…
……
………
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