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「龍聖様、到着いたしました」
山本がドアを開ける為に降りようとすると、龍聖は「いいよ自分でやるから」とドアを開け、叩きつけるように乱暴に閉めた。
腕時計で時間を確かめる。高校生には似つかわしくない高級仕様だ。
「ちっ…几帳面に時間通り到着しやがって」
明るい茶色に染まった少し長めの髪がサラリと風になびいた。下品にならない程度につけたピアスが数個、耳元でキラリと光る。
国内でも指折りの財閥の御曹司である龍聖は、この桜華学園の中でもトップ中のトップに君臨する。
それだけではない。
ひとたび道を歩けば、すれ違った人間が皆思わず振り返ってしまうほど、人並みはずれて恵まれた容姿をしていた。
180センチの長身に、スラリと伸びた手足、無駄のない引き締まった肉体に、男も惚れるほどの完璧なルックス。
龍聖に憧れる女子生徒の数は、指が何本あっても数え切れないほどだ。
この学園では彼のことをこう呼ぶ。
“王子”と――。
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