恋の訪れ

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「小野寺ごめん、ちょっと用事思い出した。先行ってて」 「付き合いますわよ?」 「いいから」 あくまでついてこようとする薫子をどうにか振り切って、校舎わきの目立たない場所まで来た。 「あー疲れる…」 イライラがおさまらず、ポケットから煙草を取り出す。 いくら御曹司と言えど、未成年の喫煙がバレれば面倒なことになる。ここなら、職員室からも遠い。 慣れた手つきで火を点ける。 吸い始めたのは2年前だったろうか。最近、本数が増えてきた。 お決まりの日常、変わり映えのしない同級生―― 「ふーっ…」 身体の奥底にある苛立ちを、煙と共に吐き出した。 こんなことをしても根本的な解決にならないことは龍聖自身がよくわかっていたが、どうにもできなかった。 「そろそろ行くか…」 半分くらい吸ったところで煙草を排水溝にポイと投げ捨て、重い腰をあげて歩き出したその時だった。
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